『日本』令和8年7月号
オイスカ研修生の見た日本
日本での学びと気づきを母国へ
ステファニー・サンテス・コルテス(愛称:ファニ)/(メキシコ)
私はメキシコから来たファニと申します。二〇一六年に農業の勉強のため、半年ほどオイスカの中部日本研修センター(愛知県豊田市)で勉強し、帰国後はオイスカ・メキシコ総局のスタッフとして、子どもたちが学校で森づくりや環境教育に取り組む「子供の森」計画の推進などに従事してきました。
メキシコでのオイスカの活動をもっと幅広いものにするために再来日を決め、今年の二月から家政研修生として調理や栄養について学んでいます。研修修了後はメキシコで、学生に日本料理を教えるプログラムを作りたいと思っています。日本はメキシコと食生活がずいぶん違います。日本では野菜の種類が多く、毎日たくさん食べますが、メキシコでは肉が中心の食事です。お米もありますが、トマトやタマネギなどと一緒に調理して食べるのが一般的なので、白ご飯を食べることはほとんどありません。このようにいろいろな違いがありますが、日本でメキシコとは異なる調理の方法や考え方を学ぶことで、メキシコの料理やお菓子にも変革をもたらすことができるかもしれないと今からワクワクしています。
日本に来て驚いたのは、温泉や銭湯のような場でみんなが裸でお湯に浸かることや、家に入る時に靴を脱ぐといった文化や習慣でした。ほかにも意外だったのは、日本人がとても元気だということです。特に年配の方がとてもアクティブで、メキシコのお年寄りとは違います。そして、私が気づいたのは、日本人は集団の中で、お互いに元気になったり、気持ちがよくなるような声掛けを上手にしていることです。特に「おつかれさまです」「お先に失礼します」「いただきます」といった、さまざまな挨拶の言葉があるのが素晴らしいと思います。オイスカの研修センターでは研修生たちが寮で集団生活をしていて、みんなで掃除や食事の後の食器洗いなどをするのですが、終わった後には必ず集合して挨拶をします。例えば、食器洗いが終わると、日直当番が「気を付け!」と号令をかけてみんなが姿勢を正します。「以上で洗い物を終わります」と当番が大きな声で言うと、みんなもそれに続いて大きな声で「ありがとうございました」と挨拶をしてから解散するのです。みんなの気持ちが整うし、私はその挨拶から元気をもらうことができます。こうした日本のよい文化や習慣に触れられることも私の研修の目的のひとつです。
私は国に帰ってからもオイスカの仕事を続けるつもりです。特に「子供の森」計画は、未来の地球を担う子どもたちにとって大切な学びがある活動ですから、力を入れていきたいです。私たちオイスカ・メキシコが活動しているのは半乾燥地で、サボテンが見られるような地域もあり、農業や植林には向かない場所です。そのため苗木を植えて育てていくためには、水を遠くから運ばなければならないなど、たいへんな面もあります。私たちは、この取り組みは人間が自然からの恵みをいただいて生かされていることへの感謝を示す一つの方法だと考えています。だから子どもたちと一緒に植林をするときには、そのことが彼らにも分かりやすく伝わるように意識して話しています。
私は今回の日本での研修を通じて、この活動はメキシコだけではなく、フィリピンやインドネシア、スリランカなど多くの国々が同じ考え、同じ目標のもとに進めている大きなプロジェクトであることを深く理解しました。子どもたちには、世界中に同じ気持ちで取り組んでいる仲間がいること、そしてみんなの努力を見て、応援してくれている人がいることも伝えていこうと思っています。
また、日本の環境意識の高さも参考にした取り組みをしたいです。日本で生活している中で、日本の街がとてもきれいなのは、教育のあり方が違うからだということにも気づきました。日本では家庭でも学校でも環境を意識した教育が行き届いていて、小さな子どもたちでもゴミを分別してゴミ箱に入れることができますし、ポイ捨てもしません。その上、掃除をする習慣も身についています。メキシコの子どもたちも、こうした日本の環境意識の高さを身につけることができたら、将来、メキシコの街は今よりもずっと美しい街になることでしょう。母国のよりよい未来を子どもたちと作っていくために、今後も日本で学びや気づきを積み重ねていきたいです。



